備長炭とは、「備中屋長左衛門が普及させた、炭の製造工程に基づいて作った炭の事」で、火持ちが長く火
力が強いのが特徴です。
木材を加工する時に出るおがくずから作ったおが炭とは違い、ウバメガシなどの木を使い実際の木から製造します。
備長炭には、ガスと比べ4倍以上ものの赤外線を発すると言われています。赤外線を通じて、焼かれたお肉は外がカリっとし、焼き目により香ばしく、中はふんわりとやらかい触感を感じる事ができます。
こうした良い備長炭に出会い料理をおいしくするには、備長炭について理解を深め、質の高い本物の備長炭に出会う事がポイントとなります。
そこで、今回は炭業界に20年ほど従事している私達が備長炭について、備長炭の定義から基礎知識まで、詳しく解説していきます。
オガ炭についての記事はこちらから
目次
備長炭とは?起源はどこから?
備長炭の起源は、平安時代初期(800年代)の頃と言われています。本格的に備長炭が普及されたのは江戸時代で、紀州の炭問屋 備中屋長左衛門が普及させたことから「備長炭」と呼ばれるようになったとされています。
備長炭で原料となる木は、カシ科(アラカシ、ウラジロカシ、アカガシなど)を原木としている事が多いです。
カシ科の木は、木の質がすごく緻密で、硬い材質として知られています。この硬い材質が、叩くと金属音のような音をする秘密なのです。
炭には、白炭と黒炭の2種類がある
白炭は、1000度以上の高温の火で熱し、ねらしと呼ばれる工程で製造したものを指します。ねらしとは、空気を窯の中に送りこんで、窯の温度を高温にし焼き上げる事を言います。
この、工程で作られた炭は硬質で、叩くと金属音のような音がします。おが炭みたいに、木を切ったときに出るおが屑を原料としているのではありません。
木その物を使用しているので値段が高くなります。なので、質の良い白炭が多くうなぎ屋や焼き鳥屋などの高級レストランに使われている事が多いです。
備長炭の特徴
以下が、備長炭の特徴です。
① 火持ちが長い
② 火力が長い時間安定
③ 温度の調節がしやすい
④ 火付けをしにくい
⑤ 炭が弾ける爆跳の可能性がある
備長炭は、火付けしにくいので、炭初心者が扱うバーベキュー用の炭などには向いていません。
しかしながら、一旦火が点けば、その備長炭で一日中料理が出来ると言われており、燃焼温度は500度から1000度(うちわで扇いだ時)と言われております。
飲食店様が備長炭を使う理由は、「日中料理するので、安定した火力で、長持ちする炭を使用したい」というニーズに答えたためです。
備長炭の主な産地
ここでは、炭で有名な産地を一つずつ詳しく解説していきます。
ラオス産備長炭
ラオス産は、国産の紀州産などに比べると火持ちが弱いですが、爆ぜが少なく、焼肉店や居酒屋店様などに幅広く使用されています。
原木としてよく使われるのがラオスによく生えているマイテューと呼ばれる木です。
国産とさほど違いがなく、ラオス産は比較的国産より安価なので多くの飲食店様で使用されています。
紀州産備長炭
備長炭の中で最も有名な備長炭です。「紀州備長炭」は、商標登録も取られており、「紀州産の備長炭しか使わない」という飲食店様もあるくらい上質な炭です。
紀南地方を中心に窯で作られています。主に、紀州産の備長炭はウバメガシや他のカシ科の木(アラカシ、ウラジロカシ、アカガシなど)を原木としています。
流通先には、うなぎ屋や焼き鳥屋などの高級レストランです。
以下の画像はNetflixのUgly Delicious でもご紹介された紀州備長炭です。ミシュラン4年連続掲載されているお店の店主は、炭があるからこそこの味が出せるのだと言っています。
土佐備長炭
土佐備長炭は高知県の周辺で生産された備長炭です。流通量は少ないですが、かなり質の高い備長炭となっています。
良質なウバメガシを使用しており、紀州備長炭にも劣らない代物になります。緯度が和歌山県とほぼ同じなので、原料の木も似たものが高知県にも生えていると言われています。
偽物備長炭に注意?備長炭の見分け方
ものによっては、偽物も多く流通しています。ここでは、備長炭の見分け方をご紹介します。
①炭を叩くと金属みたいな音がする
②手に黒い粉が付きにくい
③水につけると沈む
④鉄みたいに硬いので、包丁やのこぎりなどでは切れない
⑤灰が出にくい
注文する前に、サンプルを一度使う事をオススメします。物によって爆ぜが無いと言っていて、爆ぜがあるものもあるのでサンプルで一度確かめてみましょう。
多くの炭業者様が、サンプル商品を提供していると思いますので一度問い合わせてみてくださいね。
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